ロジック IC のきわどい応用を考える上で知っておきたいのがその出力特性です。
ロジック IC のデータシートには ○ mA のとき○V 以上、といった記述があるのみで、インピーダンスの非線形性や定格以上の電流を流す場合の特性などにはふつう言及されていません。
(データシート上の出力特性例)
また、最近は中国製とみられる偽ブランド (counterfeit) IC も多く小売されており、それらが規格を満たしているかも興味深いところです。
そこで、いろいろなロジック IC の出力特性を実測してみました。
なお、以下では IC の最大絶対定格以上までグラフを引いていますが、言うまでもなく、実使用上は絶対定格を超えない範囲で使用すべきです。
SN74Nシリーズ (スタンダード TTL)
IOL-VOL、IOH-VOH グラフおよびその定格値、VIL(max)、VIH(min) を同じグラフ上に表示しています。上図はちょっとミスで 74LS の定格値が入っています。編集の段階で気づいたのですが、TTL は 5V ± 5% なので Vcc = 4.75V にすべきでした。(74HC に合わせてしまいました。以下同様)
74LS シリーズ
とりあえず TI の SN74LS00N と日立 HD74LS00P を測定しています。
VOL に変曲点が見られます。74LS は内部回路をみると高速動作のため出力から入力に SBD が入っており、この影響です。また、出力 Tr が非飽和動作をするため、スタンダード TTL と比較して VOL が高くなっています。
74ALS シリーズ
74ALS シリーズは 74LS を高速、低入力電流にしたもので、出力特性は 8mA/-0.4mA で 74LS と変化ありません。回路上の工夫で VOL はスタンダード TTL 並に戻っています。
74HC シリーズ(正規品)
とりあえず東芝と日立の 74HC00 を選択しています。
緑線は JEDEC の最悪値を示しています。JEDEC では Vdd = 4.5V で規定されているのでここでも 電源 4.5V でグラフを引いています。
グラフのように、それなりに対称な出力特性となっています。
次回は、いろいろな偽 IC を試してみる予定です。
測定風景
このような自作回路により測定しているので、値の正確性については一切保障できないことをおことわりしておきます。