今回は偽ブランド品 (counterfeit) ロジック IC を中心に…
74HC04D(HYC)
これは NXP 社のロゴがありますが偽ブランド品だと思われます。
・同社 DIP の型番は 74HC04N であり、74HC04D ならば本来 SOP
・パッケージ形状が NXP のものと異なる
偽造 IC にはロット番号に本来の製造社名を入れている場合があり、この IC の場合 HYC というのが本来の社名だと思います。
特性を見ると、H 出力のドライブ能力が L 出力に比べて低くなっていますが、JEDEC 規格は満たしています。ファンクションも確認した限り正常です。
SN74HC164N (15FVNS)
・ロット番号の桁数が異なる
・ピンの太さが本物と比べて太い
ことから、偽ブランド品と判断しています。
ドライブ能力を見ると、L 出力がぎりぎりですが、一応規格は満たしているようです。
SN74HC164N(65CXD2K)
この IC はマーキングがきわめて薄く、パッケージ形状も TI のものと異なるので、人目で正規品でないとわかります。ドライブ能力は正規品と遜色ありません。
SN74HC595N(93DN8WY)
シフトレジスタの 74HC595 は需要が多い汎用 IC のため、偽造ブランド IC が多く見られます。実感として aliexpress では 90%、国内通販で 20% 程の確率でこうした IC を手にすることができます。
この IC のドライブ能力は本物より強いです。
SN74HC595N(11HMK7J)
この IC は機能が微妙に 74HC595 と異なっており、本来なら RCLK ピンの rising エッジで出力データをロードすべきところ、トランスペアレントラッチ動作となっていました。たまにこういうことがあります。
74HC595N(YRD0914)
偽ブランド IC の世界でも、YRD はよく見かけるブランドです。ディジタルのみならずリニア IC も手がけているようです。
74HC595N(1108LHW)
SN74HC595N(13CNONK)
このロット No の IC もポピュラだと思います。出力特性はオリジナルよりむしろ良くなっています。他の IC も似たような特性なので、ダイスとパッケージングで水平分業になっているのではないかと思います。
ここまでの偽ブランド IC と比較して、正規品の特性を以下に示します。
M74HC595B1(正規品)
ちょうど TI の 74HC595 がなかったので、STMicro のものを示しています。
ここに示していないものも含めて多数のサンプルで測定をした結果、 74HC シリーズでは、正規品に比べて偽ブランド品の方がドライブ特性が強い傾向にあるように感じます。ただし、サンプル 11HMK7J のように、機能が微妙に異なる IC も混ざっているので注意が必要です。