月別アーカイブ: 2022年9月

AVR-DA の内蔵プルアップ特性

AVR-DA シリーズのデータシートには、IO ポート内蔵のプルアップ抵抗の電気的特性はあまり詳しい記述がありません。代表特性として VDD=3V, VIN = 0V のとき 150uA(typ) 200uA (max) を保証しています。

また、VDD と Weak Pull-Up 電流のグラフ (Fig 38-82) が掲載されています。電流は VDD 電圧に依存するように書かれていますが、測定条件が明確ではありません。


– ここまで図表は AVR64DA28-32-48-64 DS Rev.B より引用

マイコンの内部回路によりますが、
1. PU 抵抗の形成に MOSFET を使っている場合
2. PU 抵抗のイネーブルを FET SW で切り替えている場合
などの条件では、抵抗値が非線形となることが考えられます。たとえば AT90S シリーズはかなり非線形な特性でした。

内蔵プルアップを積極的に使う応用を作るうえでこのあたりが気になったので、実測してみました。

VDD=2.5, 3.3, 5V で、プルアップに設定した PE2 ピンに対して VIN を0-5V, ±0.6mA 制限でスイープして、グラフにプロットした入力電流 Iin を青線で示しています。0<VIN<VDD の範囲でほぼ線形とみなすことができます。R=20kΩ の破線とよく一致します。
なお、VIN>VDD では寄生ダイオードが導通するので大きな逆電流が流れます。数十mA を超えると IC によってはラッチアップしてしまいます。

一応、ポートを変えて PD5, PF0 ピンでも同様に確認してみましたが、ほとんど同一の特性でした。常温では プルアップ抵抗 R_PU=20kΩとみなして問題なさそうです。

VIN = 0V の電流値は先ほど示した FIg.28-82 のグラフと一致します。しかし、FIg.28-82 から、パッシブな抵抗に比べて相当大きい温度係数 (~2000ppm/K = 0.2%/K) をもつことに注意が必要です。