配線や接触抵抗など、1オーム未満の値を測定しようとすると、一般のテスタでは難しいことが多いです。
高価な市販のミリオーム計ほどの精度はいらないけれど、おおよその値を知りたい・・・というシチュエーションは意外に多いものです。
そこで、簡単なミリオーム計を作ってみました。
写真の左側の基板がミリオーム計部分で、オシレータとAC増幅器、AC-DC コンバータから構成されます。
右側の基板は、以前製作したランプ型 ADC です。赤いアクリル板をつけて LED を見やすくしています。
分解能は 1ミリオーム(直読)で、4線式計測となっており、短絡で 0.000 オームになるように調整しています。
上記写真では、単三電池ボックスの接触抵抗を測定しています。
ばね式の安価な電池ボックスは、- 極側 1 箇所でおよそ 100 ミリオームの抵抗を示します。
これは電池動作機器には無視できない値です。
この電池ボックス、ラグ板に半田付けすると熱でプラスチックが溶けて使い物にならなくなります。困ったものです。
上記は回路図です。
すべて OPAMP とロジック IC で構成されています。
+5V 単電源で動作させるために、少しイレギュラーですが MAX232 を DC-DC コンバータとして使用しています。
抵抗計は被測定抵抗 (DUT) に電流を流して、発生する電圧を増幅することで抵抗値を得るわけですが、抵抗値が小さいと電圧も微弱になります。
したがって、DC のまま抵抗計を構成すると、増幅器の DC オフセットが精度にとって大きな問題となります。
そこで、1kHz の AC 電流を DUT に流し、交流のまま増幅することで、増幅器のDC オフセットを無視できるようにしています。
ブレッドボードワイヤは、個体により 50-100 ミリオームを示しました。
1 オームの抵抗を測定しています。
TC5054Pなど入手しにくいので 他の素子で出来ないでしょうか?
この類のカウンタICはマイコンの普及に伴い絶滅して、手に入りづらくなっています。
機能的には 74C925, 74C926 などで代替できます。
また3桁になりますが CMOS 4553B (+4511B) は比較的入手しやすいと思います。
TC5054P はいくつか持っているので、単価 \500 ならば頒布可能です。
簡単に作るならば、回路図中 VIN 部分に 0-2V が測れる電圧計を繋げれば OK です。
ご親切にありがとうございます
連休中にも作ってみたいと思います
あと 質問ですが 発信回路中のボリューム調整方法を
教えてください
「Level」は発振回路出力の振幅が 2V (rms) になるよう調整します。
「FS」はフルスケール調整なので、たとえば 1 Ωを測定したときメータの読みが1.000 になるよう調整してください。
ニッケル水素電池の放電器製作中、4回路個々の回路で放電終止電圧に若干差が出るので1Ω以下を精密に測れるミリオーム計が欲しくなりネットを検索中に偶然貴殿の製作記事を見つけ早速作ってみました。
結果いろんな抵抗値で試して見ましたら結構すばらしい値が出ました。 ただ完成当初どうしても数十ミリボルト程度の残存電圧が残りいくらショートしてもゼロが出ません。 そこでアース配線を太くしたリ、ケーブルを太くしたり、オペアンプの入力回路にガードリングをつけたり、金メッキのケルビンクリップに交換したりしましたが、多少の改善はできたもののゼロには程遠く、その後これはOP-AMPのオフセット電圧ではないかと思い手持ちの4558を取っかえ引っ替えしましたが駄目でたくさんあったTL072の中に1個だけ偶然ゼロになるのがあったのでそれで完成させて早速いろんな抵抗で試しますと50ミリオーム以上で有れば大変正確に表示が出ます。貴殿のすばらしい設計に敬服いたしております。 ただ一つ残る課題は1オーム抵抗測定で1時間当たり50ミリオーム程度は動きます。 いろいろ考えあぐんだ末信号源の1kΩを変えてみるとその変化度合いが変わりました。 この1kの抵抗の温度特性がこの現象を引き起こしているように思えるのですが貴殿の製作時にはこのような症状は出ませんでしたでしょうか? 経時変化を抑えるのに何か良いヒントがあればご教示願えませんでしょうか? 大変勝手なお願いですがそれが対応できれば更にすばらしいミリオーム計に出来るかと思います。
コメントいただきありがとうございます。
まずゼロ調整ですが、AC 増幅器 (x1000 と書いてある MC1458) の出力 (22u) を切断したときに
VIN 信号が 0V にならないならば AC-DC コンバータの DC オフセットが支配的です。
この場合、3 ピン、5 ピンの GND の代わりに ±100mV 程度調整できる VR に繋げば補正できると思います。
1段目、2段目のオペアンプの DC オフセットは影響しないはずです。
もし 22u 切断で VIN = 0 になるならば、AC 増幅入力にノイズが乗っていると思うので、
フィルタを挿入するとか、DUT からの配線をツイストペアにすると効果があるかもしれません。
経時変化については、相対的な抵抗値を測る目的で作ったこともあり、正直申し上げるとあまり考慮していなかったところです。
おそらく正弦波発振器の電圧レベルの経時変化が大きいのではないかと思います。
ダイオードリミッタを使用した簡単なウィーンブリッジ発振器なのでダイオードの温度特性が大きく出るはずです。
部品を追加して安定な AGC を組むか、別の発振回路を採用するのが正攻法ですが、
XR2206 のようなファンクションジェネレータ IC を応用するのも面白いと思います。
また、原理的には正弦波でなくても良いので、たとえば 4040 の 7 ピンから出ている 750Hz を
74HC04 あたりでバッファした信号を代わりに使うと、電圧レベル面では安定するかもしれません。(未検証)
「かもしれません」ばかりですみません。
こんど時間があるときに詳しく確認したいと思います。
いろいろと対応策のアドバイスをありがとうございました。
そうなんですね、一つには正弦波発振回路のダイオードがキーなようなのですね。
この正月休みに駄目ならいっそのこと直流電源にでもしてしまおうかと考えつつも良いアイデアが無いかwEBを検索していた折にElekenさんからのお返事を確認させていただいたところです。
ではアドバイスいただきました中で、手持ちの機械ですぐに出来そうなファンクションゲネレーターで一度やってみたいと思います。どうもアドバイスをありがとうございました。
アドバイスをありがとうございました。
早速外部発振器(ファンクションゲネレーター)からの1kHz信号の注入に替え 1.5Ω抵抗測定で、室温9度Cの環境下で2時間半経過時点で約10ミリオーム程度のドリフト(約1/5)に収まりまして大幅な改善に至りました。
せっかくのこの正月休みです、今のうちにと一番簡単そうな発振回路をブレッドボードを使い手持ちのタイマーIC(555)で試作し、結果がそこそこいけそうだったので改めてミニ基板で組み立て直しました。その結果は何とナント!思いのほか上出来で私としては必要充分な安定度を得る事ができました。室温が10度にも至らない寒いシャックで、1.5Ω抵抗を繋いだ測定状態で8時間連続エージングして1.50*Ωの最終桁だけが数カウント動いただけで10ミリオーム桁はピタリと当初の数値を維持してくれて大成功です。
Elekenさん、この度はこのような素敵な製作記事を公開いただき、またつたない私への貴重なアドバイスも賜り本当にありがとうございました。
これで私の自作測定器がまた1機増えまして、今後の製作実験精度が更に高くなりそうで大変喜んでおります。
また何か興味を惹かれるような製作記事を楽しみにさせていただきたいと思います。
Elekenさんの今後益々のご活躍を願いつつこの度は本当にどうもありがとうございました。