AVR HVS (High Voltage Serial) ライタの作成

最近になって AVR HVS ライタを製作したので、ここで紹介します。

完成写真

いきさつ

最近 ATtiny11 という古めのチップを(大量に)入手したのですが、
この書き込みは ISP 非対応ということに、入手後になって気づきました。

2018 年現在、AVR マイコンのプログラミングインタフェースをリストにすると、おおむね以下の通りです。

以前からの品種でサポート
SPI ISP: ほとんどの品種でサポート
HVS (High Voltage Serial): 8ピン tiny13A 等, 12V 必須
HVP (High Voltage Parallel): 16ピン以上, 12V 必須

新しい品種でサポート
TPI (Tiny Programming Interface): tiny10 等
PDI (Program and Debug Interface): XMEGA系

AT90S / tiny / mega を中心に使用する限り、AVRISP のような SPI ISP 書き込みに対応した
ライタさえ持っていれば、「少数の例外を除いては」ほとんどの品種に対応できます。

ところが tiny11 は「少数の例外」にあたり、プログラミングインタフェースは HVS のみに対応しています。
HVS 対応のライタは持っていなかったので新しく作る必要に迫られました。

設計

製作にあたって下記の条件を定めました。
(1) USB で動作すること (IF, 電源共)
(2) MCU は ATmega8 を使用すること (手持ちの関係)
(3) 既存のソフトウェアを使用できること
(4) 安価であること

(1)(2) を満たすライタがネット上に公開されていればそのまま使いたかったのですが
条件に合うものが見つからなかったので、回路と FW は新たに作ることにしました。

ホスト側ソフトウェアは私が作ると中途半端な実装になりそうなので、
既存の HVS 用ソフトウェアに対応することが望ましいです。
ちょうど、neko JAVA さんが USB 対応のパラレルライタを公開されていたので、
ホスト側ソフトウェアはこれをそのまま使用できるようにします。
FW の実装は v-usb ベースですが、HVS / HVP 実装部分でソースコードを参考にさせてもらいました。

回路図:

FW ソースコード: 180219_YLE_HVS_Writer_Source
ホスト側ソフトウェア: 本文参照

動作

HVS + tiny11 で FLASH 書き込み、読み込みできることを確認済み。
HID なのでドライバは不要です。
HVP (High Voltage Parallel; 高電圧パラレル) も一応実装していますが、動作は未確認です。

動作速度は正直言って遅い(tiny11 Program + Verify で 1 分以上)です。
FW は v-usb ベースにしており USB1.1 LS なので、interrupt 通信の
ポーリング間隔の制約からオリジナルの 10 倍程度遅いと思います。
tiny11 のようなページを持たないマイコンの FLASH を書く場合、
このライタのプログラムが 1バイトあたり 3-4 個の interrupt 通信するので
ほとんどの時間を通信待ちに費やすことになります。
このへんはプログラムの変更で 3 倍ほど改善可能ですが、
「(2) 既存のソフトウェアを使用できること」なのでそのままにしています。

PIC18F2450 など USB2.0 FS 対応マイコンに移植すればもっと高速になるでしょう…。

SOP の AVR の書き込みは、写真のようなアダプタ (aliexpress で ¥600) により行っています。

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