電気・電子」カテゴリーアーカイブ

R8C プログラミングアダプタ

R8C マイコンは汎用 UART から RxD, TxD ピン経由でのプログラム書き込みが可能ですが、
そのためには、古い品種 (R8C/1B など) ではクロック発振子を外付けする必要があります。
DIP ならまだしも、ISP 書き込みせざるを得ない SMD 品には致命的です。

専用のアダプタ回路を介すことで、
MODE ピン経由でプログラム書き込みができます(モード 3)。
こちらの書き込み方式は内蔵発振器で動作するので、クロック発振子の接続は不要です。
また、RxD, TxD ピン を自由に使用できるというメリットもあります。


アダプタ回路を作ってみました。
詳細はこちらに書きましたが、
要するにリセット時に適切なタイミングで MODE ピンを操作することと、
MODE ピンの半二重信号と TxD, RxD との変換をしています。
マイコンを使って作ってもよいのですが、簡単な仕組みなので
汎用ロジックで組んでみました。
手持ちの部品の都合で、少し複雑になってしまいましたが、
74HC86 を使えばちょっとだけ簡単にできます。

スイッチを押した状態で PC 側の書き込みソフトを動作させて書き込みます。


これはとりあえず作った基板で、裏面に SOP のロジック IC を実装しています。


使用時はこのようにUSB-シリアルを接続するわけです。

マイコンを使わないワンタッチ選局可能 DSPラジオ(2)

(お知らせ)
Webページのアドレスが変わりました。
【新】http://eleken.y-lab.org/

前回のつづき。
前回の回路図を修正した結果が以下です。

気になっていたのは、設定したチューニング周波数の経年変化です。
この回路1ヶ月ほどテストしたところ、経年変化もなく 大丈夫そうなので、
Web に記事を書きました。

正直に言うと、ダイオードアレーによるセレクタよりも、
素直に 4066 によるセレクタを使った方が、よりシンプルにできた気がします。

この DSP ラジオ IC(AKC6959)は音声が逆位相で出力される点が問題です。
結局低電圧駆動のOPAMP で片 ch のみ反転の簡単なアンプを作りましたが、
IC 内蔵のオーディオアンプを使えないのが残念です。
内部的に fix できる方法があったりするのでしょうか?

TTL IC で自作する Atari Pong(3)

基板 2 枚目

この基板には、主に表示関係の回路とパドルタイミング生成回路が乗っています。

Pong にはスコアの数字を画面表示する機能があるのですが、これは 7448 (7 セグ LED デコーダ) によって行われています。考えてみれば CPU やメモリを持たない回路なので(当然フォント ROM など無い)こういう構成にするほか無いのですが、少し驚きました。ちなみに 7448 の 6,  9 の書体が気に入らない場合、74(LS)248 に乗せかえれば解決します。

タイミング回路 (H, V の 4-256 分周) 全てがこの 2 枚目基板で必要となるため、ピンヘッダからの配線量が多くなってしまいました(画像、赤・オレンジの配線)。これは失敗です。もう少し基板構成を考えれば良かったかもしれません。

マイコンを使わないワンタッチ選局可能 DSPラジオ(1)

aitendo の DSP モジュールですが、M6959 や M6952 はアナログ VR によるチューニングです。
年始に買った福袋に入っていたこれらのモジュールが残っていたので、
ひとつラジオを作ってみました。

DSP ラジオといえば、ディジタルに選局可能なことが魅力のひとつ。
最低限プリセット選局くらいできないと、DSP ラジオの魅力が半減です。
それに、参考回路図通り組むのでは非常につまらない!
そこで、ワンタッチでプリセット選局可能なラジオにしてみました。

実はこれらのモジュールは、ピンの電圧を AD変換した結果を基に選局しているだけなので、
プリセット機能は比較的簡単に実現できます。

マイコンを使えば回路設計は楽なのですが、それではいまいちつまらないので、
今回はマイコンを使わないで設計してみます。

 

回路図(暫定版)を示します。
そのうち Web ページに記事を書く予定なので、詳しい説明はそちらに譲ります。
肝になるのは M54834P で、これはこの手の応用におあつらえ向けのラジオ選局用 IC です。
なお内部的にはシフトレジスタなので、ディスクリートのロジックIC 6つくらいで
作ることも可能だと思います。

プリセット選局周波数は、9個の多回転VR で設定します。
また、マニュアル選局のスイッチを1つ設け、
押すたびにFM->MW->SW1->SW2 の順で受信バンドを変更するように
ロジックを組んでいます。

この IC のオーディオ出力は、左右chで位相が反転される仕様なので、
M5218A による 片ch を反転するバッファアンプを挿入しています。

冒頭の写真の通り、ダイヤル付きのポテンショメータや照光式SW など
私としては部品代を奮発してしまいました。
実はこのポテンショメータはジャンク品の再生なのですが、
新品で買うと¥5000 くらいはするはずです・・・

プリセット表はとりあえずプリントアウトした紙をケース上部に差し込むしくみです。
他に良い方法はないものか・・・。

掲載の回路図では、チューニング電圧のDCバイアス関係でまだ少し問題があります。
改善したら Web ページの記事を書くことにしましょう。

タケダ理研 TR-6364 (ニキシー管マルチメータ) その3

前回のつづきです。

・DC コネクタについて
φ6.3/3.1mm, センターマイナス、プラグ・ジャックとも千石にあるようです。
マル信のMJ-065Mがそのものかも。
筐体のものは1回も使われなかったのか錆びているので、使わないほうがいいかも。

・AC ケーブルについて
3極のACケーブル、ピッチ間11.5mm
日米にあるかなと思って行ってみたら臨時休業でした。
出直さなければ。

・調整
ブロック説明
端子説明

2枚ある基板のうち、上側の基板に計測部が集約されています。
回路を追った感じ、上に示した写真のような構成となっています。

現状の明らかな問題点は次の通り:
1.100V レンジで誤差が明らかに大きい
2.AC 測定時にオフセットが生じる

これらについて調整を行いたいと思います。

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タケダ理研 TR-6364 (ニキシー管マルチメータ) その2

前回の続きです。


古い(1970年代前半)デジタルマルチメータを入手しました。
調整の必要があるので、やむなく内部を開けて見ます。
もっともこういう古い計測器は非常に興味深いので、
調整の必要がなくとも中を見ていたと思います。

上部のねじを外すことにより、簡単に内部を確認することが出来ます。
大きく 2 枚の基板から構成されています。
上側基板
下側基板

機能の割りに回路規模が非常に大きいです。
B 級(0.1%)~D 級(0.5%)の金属皮膜抵抗が多く見えます。
また、部品定格などを見る限り、計測器らしい堅牢な設計になっているようです。

困ったことに、調整箇所(トリマ)が予想以上に多いです。
説明書も何もないので、正しい調整を行うためには、
ちゃんと回路構成を追う必要がありそうです(ちょっとうれしい)。
でも両面基板なので、やや大変かも。

レンジ切り替えロジック
ロジック IC は電池動作を考慮したものでしょうか、ナショセミの 74L ファミリを使用しています。
(ただし74141 のみ標準 TTL。)
74L は 74H と並んで今はまず見かけない 74 シリーズの TTL です。

MOSTEK MK5007P
心臓部 ADC は予想通り、”準”ディスクリート構成と呼ぶべき、カウンタ IC による積分型をとっています。
このカウンタ IC(MK5007P) と 74141 のみ、何故か IC ソケットを使っています。
故障しやすい部品なのでしょうか。

IC のデートコードを見る限り、本製品は 1973 年以降に製造されたもののようです。
当時はすでに LED も VFD もあったはずなのですが、どうしてニキシー管を採用したのでしょうか・・・?

次回は回路構成を詳しく見ていきます。

タケダ理研 TR-6364 (ニキシー管マルチメータ) その1


先日、外見に一目惚れをして入手しました。
ニキシー管ディスプレイのマルチメータです。
私のセンスではとてもカッコいいと感じます。
また、このサイズで “MINI-MULTIMETER” を名乗るあたりがいじらしいです。
こんな外観ですが、なんと電池動作が可能です。(UM-2 x10)

ジャンクという説明でしたが、いくつか調整が必要なことを除いて、
機能はほぼ OK でした。
40 年前の製品としてはけっこう状態が良いです。
あまり使われてこなかったのではないでしょうか?

上面
側面
背面

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チャージポンプ回路の応用

MC34063A (Motorola) などの DC-DC コンバータのコントローラ IC の中には、最低動作電圧が 2.5V ないし 3V 以上というものも多く存在します。アルカリ乾電池や NiMH 充電池の終止電圧はおおむね 0.9V ですから、乾電池 2 本で長時間これらの IC を動作させることはできず、設計時にもどかしい思いをすることになります。

MP1541DJ (MPS) もそのような DC-DC コンバータ IC の一つです。可変出力電圧で電流制御型の高性能な昇圧コンバータなのですが、2.3V で UVLO(Under Voltage Lock-Out) が働くため、どうあがいてもそれ以下の電圧で動作させることは出来ません。


MP1541外観 (SOT23)


典型回路

この IC は IN 端子から動作電圧を取り、消費電流も 1mA 以下です。そこで、IN 端子のみチャージポンプによる昇圧回路を挟めば、十分に低電圧動作が可能です。もっとも、手持ちが多いなどのアマチュア的理由がなければ、MCP1640(Microchip) のような低電圧動作の IC を採用すべきですが…。

というわけで、LED ドライバを組んでみました。電流フィードバック電圧 (1.25V) が比較的高く、その分がロスとなるので効率はそれほど取れないと思います。とはいえ引き出しにあるもので作れるメリットは大きいです。

適当なユニバーサル基板へ実装しました。LED はジャンク袋に入っていた、たぶん日亜のサイドビュー型です。

思惑通り、1.8V 動作もクリアです。

¥30 チャージポンプ回路

電流はいらないけど、圧電素子駆動用にちょっと高電圧が欲しいとか、
3V から動作の SW レギュレータを 2V から動かしたいとか、
そういう用途に最適なチャージポンプ回路です。

(回路図)

入力 1.8~6Vで動作するので、乾電池 2 本動作の機器に最適です。
出力電圧はだいたい (入力電圧 – Vf)×2 で、電流は 2 mA 程度まで取れます。表面実装部品を使えば¥30~¥50 程度の部品代で製作できます。

TC7W14(F) は 3回路入りシュミットトリガインバータですが、
発振回路を組みやすいピン配置なのでこういう用途にも好都合です。

(製作例)