自作カーブトレーサ[UDAS-01]で半導体の特性を見る その1

[旧ブログからの移行記事]

Dscf0734

最近は USB 接続で動作する汎用のカーブトレーサを製作しています。
型番は UDAS-01 と名づけました。
これは USB Device Analyzer System の略称のつもりです。
未知のダイオードやトランジスタに対して、以下のようなグラフが取れます。
graph_1s2076a_01

このデバイスは HID デバイスの USB キーボードとして動作します。
Excel を起動した状態でスイッチを押すと、
自動的に取得したデータが打ち込まれていきます。

Dscf0733
(上面図)

写真に見るように、3ch の DAC と 16bit の ADC を搭載しています。
また、MCU には AVR の ATmega88V を使用しています。
上記写真右側のコネクタに V-I コンバータや V-F コンバータなどの
プラグインボードを接続して使用します。
汎用性を重視したつくりになっており、
半導体のみならずスイッチングレギュレータの特性など、
いろいろ計測することを想定しています。
スタンドアローンでも、15V 100mA 程度までグラフが引けます。

ちなみに、秋月で扱いのある半導体アナライザ (DCA-75) も
カーブトレーサ機能がありますが、100mA も電流を流せません。
もっとも、手軽さの点では市販品の方が優れていることは
いうまでもありません。

下記はいろいろな Tr の Ic-hFE 特性をグラフにしたものです。
(Vce = 3V (小信号) または 5V (中電力))

(1) 2SC1815
graph_2sc1815_01
2SC1815 は汎用の小信号 Tr です。
一般にバイポーラ Tr は定格付近で hFE が低下してしまいます。
今回使用した個体は GR ランクですが、hFE の落ち込みが顕著でした。
Ic<5mA で hFE がやや低いのは測定誤差によるもので、
基本的に Ic<50mA の領域で hFE はフラットです。

(2) 2SC2021
graph_2sc2021_01
2SC2021 は ROHM の定番汎用小信号 Tr です。
Ic 定格 100mA ですが、hFE の落ち込みは 2SC1815 ほど顕著ではありません。
一方、低 Ic の領域では、2SC1815 ほどフラットではないように見えます。

(3) 2SD468
graph_2sd468_01
2SD468 は日立の中電力 Tr です。(Ic=1A)
電源容量の都合で 180mA まで引きましたが、hFE は落ちません。

(4) 2SC827
graph_2sc827_01
2SC827 は富士通の SW 用 Tr です。 (Ic=0.5A)
2SC827

(5) 2SD2171S
graph_2sd2171_01
2SD2171 は ROHM の中電力 SW 用 スーパーβトランジスタです。
スーパーβトランジスタとは文字通り hFE の非常に高い Tr のことで、
グラフを見ての通り hFE の桁が違います。
この Tr が役立つところはえてして MOSFET の方が適格となるので、
意外と使いどころが難しいういやつです。

少 Ib 時の誤差が目立ちますので、これの解消が課題です。

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